平成25年度 第24回異業種交流会(夏)

日時:平成25年8月18日(日)10:30~13:30
場所:金沢スカイホテル 10階
会費:2,000円(講演聴講のみは無料)
講師:株式会社アクトリー 代表取締役社長 水越裕治氏(S46卒、第2期)
演題:
「『経営・・私の来た道』~環境ビジネスと次世代ビジネスリーダー~」
参加者数:21名

-物事には必ず時代背景が関わっている-

 第24回異業種交流会は、平成25年8月18日(日)経工会会員ら21人が参加して金沢市の金沢スカイホテルで開かれました。 今回は、株式会社アクトリー 代表取締役社長の水越裕治さん(S46卒、第2期)を講師として招き、 『「経営…私の来た道」~環境ビジネスと次世代ビジネスリーダ~』をテーマに講演を行いました。 水越さんが社長を務める株式会社アクトリー(以下、アクトリー)は、廃棄物処理メーカーとして40年の歴史を誇り、 北海道から沖縄までの全国各地で焼却炉などの製品が稼働しています。 また、東日本大震災で生じたがれきの内、同社の焼却炉が32%を処理していることでも知られます。

水越さんは、学生時代の思い出に交えながら自社の概要を説明し、1971(昭和46)年にアクトリーを創立した当時を振り返りました。 「日本はまさに高度経済成長の真っ直中にあり、大量生産、大量消費によって人々が豊かさを感じていた。 そのころは、ごみが社会問題化しており、1970(昭和45)年には一般ごみと産業廃棄物を区別する廃棄物処理法が成立し、 処理業者が誕生した。当社は1972(昭和47)年に国内初の焼却炉の生産を開始し、何度も実施された法律改正に対応しながら、 現在では産業廃棄物プラントの分野でトップシェアを獲得するリーディングカンパニーとしての評価をいただくまでに成長した。」と話されました。

東日本大震災のがれき処理の現状について話され、「現在、被災地の沿岸部で稼働している焼却炉29基のうち、当社は9基を提供している。 今年10月にはがれきの処理が終わり、ようやく復興が本格化するだろう。ただし、復興には10年以上の月日がかかり、建築、土木の需要が10年続く と言われている。」と説明されました。 また、会社を創立してから2年目に業績が飛躍的に伸びた時期があったとし、その際に金沢工業大学経営工学科で学んだ知識が大いに役立ったと言います。 水越さんは「当時、木工所では、木材をひいた後に出た木くずを穴に入れ、夜に火をつけて帰っていたため、火事が相次いでいた。 そこで木材用焼却炉を売り込みにいき、製品を売り込むのと同時に木くずを処理するラインもパッケージした。 この際に参考にしたのが在学中に学んだフォードの自動車のコンベアラインで、全国紙で紹介されたことも手伝って売り上げが急激に伸びた。」と話されました。

続いて、廃棄物に対する世の中の考え方が年代を追うごとに変わってきていると指摘されました。 「廃棄物を規制する目的が、昔と今とでは異なる。1970年代には公害防止に主眼が置かれていたが、1980年代に入ると単に燃やすだけでなく、 燃焼によって生じる有害なガスをクリーンするなどの環境対策が大きく叫ばれるようになった。 そして1990年代には限られた資源を有効に活用する循環型社会がクローズアップされるようになり、21世紀の現在は、循環型社会、低炭素社会、自然との共生・生態系保全 といった観点から持続可能な社会・経済であることが求められている。」と解説されました。 また、適正な地球の人口は30億人、現在の65億人はすでにオーバーの状態にあるとし、中でも水不足が深刻な問題であると指摘しながら、 「10億もの人々が水も食べ物も満足に得られていない。海水から真水を簡単に作り出せる技術ができたらノーベル賞ものの画期的なことであり、 大きなビジネスになることは間違いないだろう。」と話されました。

さらに、水越さんは「アクトリーでは、発電や熱利用といったサーマルリサイクル、焼却灰を無害化して建設資材にリサイクルする マテリアルリサイクルなどに取り組んでおり、廃棄物処理によって得られる排熱の農業分野への有効利用技術の開発などを目的とした『エコビレッジ構想』 を提唱するなど、新しい技術の開発、実用化を進めている。」と話され、人・物・金を有機的に活用することによって、常に業界の最先端を行く研究開発が 可能となり、新しい事業へと結びついていくと説明すると、参加した人たちは納得した表情を浮かべていました。

昼食会は、遠くは白山も眺められ、金沢市街が一望できるレストランで行われ、参加者は手のかかった料理に舌鼓を打ちながら、 会員同士で近況を報告し合ったり、会社の事業について話し合ったりするなど、大いに盛り上がりを見せました。

今回は、創立から40年で日本を代表する産業廃棄物メーカーに成長したアクトリー社長の水越さんの話が聞けるとあって、 いつも以上に多くの会員が参加し、参加者の交流も活発であったことから、実りの多い異業種交流会となりました。